不妊症・不育症
当院では平成元年5月より体外受精が導入され、札幌で初めて体外受精児を誕生させた長い歴史があります。
日本生殖医学会生殖医専門医、日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会臨床遺伝専門医、認定胚培養士、看護師を含むチームで一般不妊治療、体外受精、顕微授精、凍結胚移植などの治療をはじめ、泌尿器科医師と連携し、精巣内精子回収術も含めた男性不妊症にも対応しています。同一施設内で、一般不妊治療から体外受精、筋腫核出術、卵管形成術などの手術療法まで様々な治療を行うことができる特徴を生かして患者さんご夫婦とゆっくりと話し合い、治療方針について決定しています。
生殖医療専門医、臨床遺伝専門医の逸見医師と不妊治療の経験豊かな岩城医師が不妊専門外来を、木曜日には前札幌医科大学准教授 遠藤医師が不育、生殖遺伝専門外来を担当し、専門相談を行っています。
また、不妊看護認定看護師と胚培養士が不妊相談外来のほか、これからがん治療を行う患者さんの将来の妊娠希望に関する相談目的に不妊・妊よう性相談外来で専門相談をおこなっています。
内視鏡下手術
腹腔鏡、子宮鏡、卵管鏡下手術に日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医を含むチームで積極的に取り組んでいます。子宮筋腫や卵巣腫瘍の手術も可能な限り、開腹手術に比べて美容性に優れ、短期間で回復できる腹腔鏡下手術で行っています。
平成21年3月より全国に先駆けて単孔式腹腔鏡下手術を導入しています。おへその窪みの中を切開して、1ヶ所の傷からカメラと複数の鉗子を挿入して腹腔鏡下手術を行う方法です。通常のおへそ1ヶ所と下腹部2~3ヶ所を切開する方法と比較して、術後の傷がおへその窪みの中に隠れてしまうので術後の傷を目立たなくしたい患者さんに有用です。
令和3年1月より道内で初めて、妊娠の妨げとなる可能性がある子宮内膜ポリープなどを粉砕、吸引除去することで子宮内膜に愛護的な操作を可能とした細径のThe Truclear™ Hysteroscopic Tissue Removal Systemを導入し、術後早期の妊娠を可能としています。
また、卵管内腔の閉塞に対してもクラミジア、開腹、腹腔鏡下手術既往がなく、子宮内膜症を合併していない場合には術中子宮卵管造影を併用することで、腹腔鏡を併用せずに短期間の入院で卵管鏡下卵管形成術を行っています。
腹腔鏡・子宮鏡下手術技術認定医の逸見医師と岩城医師が専門外来を担当し、相談を行っています。
がん生殖医療
がん治療に際し、生殖毒性を持つ化学療法や放射線治療などにより、治療後に妊娠の可能性が低下、あるいは消失する可能性があります。 これを予防するには治療前に卵巣組織、あるいは未受精卵子を体外に取り出し、凍結保存をしておく方法があります。原疾患の回復後、婚姻された場合に、凍結保存された卵巣組織、未受精卵子を融解して使用することで妊娠できる可能性があります。
がん生殖医療はがん治療開始までの限られた時間で相談、治療開始する必要があるため、ご本人、あるいはがん治療主治医から直接、専門外来直通電話にご連絡いただき、ご相談日を決定、緊急対応させていただいております。
卵巣組織、未授精卵子、および精子の凍結保存に関する診察料は全て自費診療となりますが、現在、小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法促進事業が行われており、年齢などの条件を満たす場合には医療費助成の対象となります。
上記専門外来受診のご予約、お問い合わせは婦人科外来(直通電話:011-231-2319)までお願いします。
学会発表・論文発表
日本生殖医学会、日本受精着床学会、日本婦人科腫瘍学会、日本がん生殖医学会、日本産科婦人科内視鏡学会などの生殖医療分野、悪性腫瘍分野、内視鏡手術分野の学会への積極的な発表、参加を行い、広い知識、技術を取り入れることで日常診療に役立てられるように心がけています。
また、患者さんへの十分な説明と納得していただいた上での治療方針決定を心がけており、誠意と優しさが婦人科・生殖内分泌科のモットーです。
施設のご案内
2017年10月斗南病院新築に際し、婦人科・生殖内分泌科外来を患者さんへの配慮を最優先に、プライバシーを大切にした空間設計としました。
受付カウンター
受付カウンターです。受付事務スタッフが笑顔で対応させていただきます。 |
待合室
待合室は婦人科・生殖内分泌科外来の中にある専用待合室となります。モニターに受付番号を表示することで、プライバシーに配慮して患者さんの呼び出しを行っています。 |
診察室
安心して診察を受け、ご相談いただけるように各診察室を遮音壁でしきった完全個室で診察しています。内診台の横にはモニターを設置し、診察中もご一緒にエコー画像を見ながら説明を受けることができます。
採卵室
手術室と同等の洗浄度class II(室内圧陽圧、微生物濃度200CFU/m3以下)の採卵室です。こちらでは採卵、胚移植の他、子宮鏡検査、コルポスコピー検査なども行います。
培養室
手術室と同等の洗浄度class II(室内圧陽圧、微生物濃度200CFU/m3以下)の培養室です。生殖医療専門の医師と培養士が患者さんの受精卵を最適な環境で育てていきます。
VOCs(揮発性有機化合物)除去装置(Coda Areo 800:アステック)
VOCsは空気中に存在し、胚への悪影響が心配されています。空気中のVOCs、微粒子、埃を物理的・科学的に除去する装置です。24時間使用することにより、培養環境をより良く改善します。 |
タイムラプスインキュベーター(CCM-iBIS:株式会社アステック)
タイムラプスインキュベーターは胚を観察時にインキュベーターから外に出す必要がないため胚へのストレスがありません。また、自動撮影機能により画像として長期間連続観察できるので、分割の過程を詳細に知ることで良好胚の選別が出来ます。 |
面談室
プライバシーを大切にした完全個室で安心して説明、ご相談を受けることができます。 |
採精室
婦人科待合室とは離れた場所にある完全個室でくつろいで採精していただくことができます。採取した精液検体は採精室から持ち出さずに直接、部屋内のパスボックスからスタッフに提出します。 |
担当医師
婦人科・生殖内分泌科に所属している医師を紹介しています。
逸見 博文(平成6年卒)科長
- 日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医
- 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)
- 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会臨床遺伝専門医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(産婦人科)
岩城 豊(平成22年卒)医長
- 日本産科婦人科学会専門医・指導医
- 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)
- 日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医
- 周産期専門医(母体・胎児)
- がん治療認定医da Vinci Certificate
濱口 大志(平成27年卒)医師
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本産科婦人科遺伝診療学会認定医(周産期)
遠藤 俊明(昭和54年卒)非常勤医師
- 日本産科婦人科学会専門医・指導医
- 日本生殖医学会生殖医療専門医
- 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)
- 日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会臨床遺伝専門医
- 日本周産期新生児学会専門医(母体・胎児)
- 日本周産期新生児医学会 新生児蘇生法インストラクター