男性不妊

性別による不妊原因の比率は男性側にも約半数の原因があるといわれています。男性不妊の種類・治療をおおまかに分類すると下記のようになります。必要に応じて泌尿器科と連携しています。

男性不妊の種類・治療

性交障害、勃起不全

  • バイアグラ
  • 人工授精

精子の数が少ない

  • 人工授精
  • 体外受精・胚移植
  • 顕微授精
  • 精巣内精子採取

精索静脈瘤

  • 手術治療
  • 体外受精

逆行性射精

  • 膀胱内精子回収
  • 薬物療法
  • 精巣内精子採取

男性不妊の原因を調べるための具体的な検査・治療については以下になります。

男性不妊の原因を調べるための具体的な検査・治療

漢方薬・サプリメント

漢方薬(補中益気湯、牛車腎気丸など)で精子濃度、運動率が改善する場合があります。

ED

勃起障害とは満足な性行為を行うのに十分な勃起がえられないか、または維持できない状態とされています。喫煙、肥満・運動不足、ストレス、うつ病、生活習慣病が原因となることもありますが、PDE5阻害薬が有効な場合があります。

染色体検査

男性不妊患者さんの2~10%に染色体異常が認められ、最も頻度が高いのはKlinefelter症候群であり、無精子症の5~10%、高度乏精子症の2~5%の頻度で認め、次に多いのはY染色体長腕微小欠失といわれています。

Y染色体AZF領域検査

Y染色体AZF検査は造精機能に関連する遺伝子を調べる検査です。AZFa、AZFb完全欠損、およびAZFb+c欠損例では精子回収の可能性はないものと考えられます。AZFc欠損の場合には精子回収できる可能性があります。

逆行性射精に対する治療

逆行性射精とは精液が射出されずに逆方向の膀胱に流入している状態です。精液量が極度に少ない、あるいは精液が得られない場合があります。原因として糖尿病などがあります。

抗うつ薬の使用

逆行性射精に対し、三環系抗うつ薬が有効な場合があります。

膀胱内精子回収法

排尿後に精子培養液を膀胱内に注入します。射精したのち膀胱内の培養液を回収、培養液内から精子を回収する方法です。

乏精子症・無精子症・精子無力症に対する治療

Needle TESE

精液中に精子が一匹もいなくても、睾丸の中には少数ですがいることが多いのですが、そのような場合には泌尿器科外来で局所麻酔下に睾丸を穿刺し、精巣内の精子を採取し、顕微受精で妊娠することが可能です。入院せず、外来でおこないます。

MD-TESE

Needle TESEで精子が採取されない場合には入院して、全身麻酔下に手術室で手術用顕微鏡を使用して、精巣内の精細管を観察し、良好な太い蛇行した精細管を同定、精子を採取します。この場合は入院が必要です。

精索静脈瘤に対する治療

精索静脈瘤は一般男性の一般成人男性の8~23%に認められ、静脈血への逆流による精巣内温度上昇の結果、造精機能障害を起こすことがあります。精索静脈瘤の程度、部位にもよりますが、手術療法による精液所見の改善率は60~70%と言われています。

精子の為にできること

5000人以上のデータを集めた報告によれば総精子数、運動精子数は34才、正常形態精子率は40才、精液量、生存精子率は45才を境にしていずれも減少することが示されています。また、DNA損傷精子が25%以下である場合はそれ以上の場合と比較し、自然妊娠できる率が5倍以上高くなるという報告や、自然妊娠では夫の年齢が35~40才、人工授精(AIH)では35~45才、体外受精・顕微授精では40~50才で妊娠率が低下するという報告もあります。

  • 精巣を温めない
    精子をつくる精巣は熱に弱く、陰嚢の温度は35度が理想的と言われています。精巣付近の温度が高いと精巣の機能が衰えてしまいます。下着は体温がこもるブリーフよりも風通しの良いトランクスがおすすめです。陰嚢に貼付して使用する冷却シートや接触冷感素材を用いた冷却下着を使用する方法もあります。
  • 禁煙
    喫煙はEDの原因ともなりえますし、精子形成にも影響を及ぼし、精子の運動率を低下させ男性不妊の原因にもなります。
  • 飲酒はほどほどに
  • 亜鉛欠乏に注意
  • ストレス発散
  • 肥満の解消
  • 定期的な射精