MRI検査とは
装置自体が持つ強力な磁力を利用して、人体の臓器や脂肪に含まれる水素原子を画像化する検査です。 MR(Magnetic Resonance)検査、あるいはMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査とも呼びます。臨床現場ではどちらも「MR装置を使用して画像を取得する検査」という意味で使用され、違いはありません。 斗南病院では、1.5テスラMRI装置が稼働しています。 一つの部位につき20~30分の検査時間がかかります。 検査中はとても大きい音が鳴るのが特徴で、当院ではヘッドホンや耳栓で音による負担を減らしています。 |
MRI装置(PHILIPS社製 Inginia 1.5T) |
主な検査部位・病気
当院では主に以下の症例・部位を検査しています。
頭部 | 脳ドック、脳腫瘍、脳梗塞、眼球や視神経 |
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頸部 | 咽頭喉頭癌、舌癌、耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍 |
胸部 | 乳腺、胸部縦隔腫瘍 |
脊椎 | 脊柱管狭窄症、骨転移、化膿性脊椎炎、脊椎骨折 |
上腹部 | 肝臓・腎臓・膵臓の腫瘍、胆管膵管 |
下腹部 | 前立腺癌、子宮・卵巣腫瘍、直腸癌 |
四肢 | 骨・靭帯の損傷・炎症、骨転移 |
また、血管奇形や皮下軟部腫瘍などの形成外科関連の検査を行っており、すべての部位に対応しています。
ただし、一般的にMRI検査は胃、小腸、大腸(直腸を除く)のように動きのある部位は得意としていません。直腸は比較的動きが少ない部位ですので、MRIでも綺麗な画像を得ることができます。循環器領域で心筋負荷パーフュージョン、心筋遅延像など心臓のMRI検査をすることが可能です。
頭頚部 検査の特徴
頭頸部専用の機械(コイルと呼んでいます)を使用します。
やや圧迫感があるコイルですが、MRIの中でも特に高画質な画像を得ることができます。
乳房 検査の特徴
乳房専用のコイルを使用します。一度に両方の乳房を撮像することが可能です。
また、うつぶせで検査を行うことによって、重力を利用して乳房を伸展させます。
造影剤を用いる検査で、癌の広がり診断に有用とされています。
脊椎 検査の特徴
頸椎を検査する際は、頭頸部専用コイルを使用します。
胸椎・腰椎・仙骨を検査する場合は、元々、ベッドに埋め込んであるコイルを使用します。
また検査の際には、膝を曲げた姿勢で検査を行います。
腹部 検査の特徴
検査したい部位の上に、専用のコイルを乗せて検査します。
上腹部の場合は、呼吸をモニターするための装置をお腹に巻いて検査します。
また、息を止めて検査をする場合は、ヘッドホンから息止めの合図を流します。
MRCPという胆嚢・胆管、膵臓・膵管を診る検査を受ける方は、検査の直前にボースデルという陰性造影剤を200cc飲んでいただいています。これを経口摂取することで胃・十二指腸の消化液が消え(画像上で黒くする)、目的とする胆管・膵管だけを画像上白く映し、形状や病変の有無を診断します。
乳腺用コイル(正面・側面) |
頭頚部用コイル |
腹部用コイル |
血管腫・血管奇形検査の特徴
病変が広範囲に存在する場合があり、複数のコイルを組み合わせて2~4回に分けて画像を取得します。
小さなお子さんを検査する場合は、コイルが体に乗ると重みで負担となります。そこで、専用の器具を使用して直接体に装置が乗らないように工夫しています。
また、鎮静剤を使用して、眠っている間に検査を行う場合があります。医師・看護師立ち合いのもと、血中酸素濃度・心拍数などをモニタリングしながら検査を行います。
造影剤とは?
MRI検査で使用する造影剤は「ガドリニウム造影剤」と呼ばれるものを使用します。この造影剤を静脈より注入し、撮像することで体内(目的とする部位)の状態をより詳しく知ることができます。(一般的に、特定の病変が白く映ります)造影剤を使用する事で血管や病変部がより明瞭に描出され、正確な診断へと繋がります。MRI用造影剤はCT用造影剤のように体が熱くなることはありません。CT検査ほど急速に造影剤を注入することはなく、量も少ないため、やや細い針を血管に刺します。
CT用造影剤と同様に比較的副作用が少ない医薬品ですが、稀に副作用が発生することがあります。軽度な副作用の症状として、吐き気や嘔吐、不快感、かゆみ、蕁麻疹などがあります。重い副作用の症状では、呼吸困難・血圧低下・ショックなどの症状が出現することもありますが、万全の体制を整えて検査を行っています。帰宅後に軽度な症状が出た場合においても対応していますので病院にご連絡ください。
造影剤を使用する検査を受ける場合、以下の項目に該当する方はあらかじめお申し付けください。
- 妊娠している、又は妊娠の可能性がある。(※授乳には影響はありません)
- ガドリニウム造影剤で過去に症状が出たことがある。
- 気管支喘息(治療中である)やアレルギー体質である。
- 腎臓の機能が低下している、腎臓の病気がある。
MRA検査とは?
MR Angiographyの略で、Angiographyは血管のことを指します。
当院では、脳・頸部・四肢の血管は造影剤を使わずに検査を行っており、脳ドックや閉塞性動脈硬化症(ASO)の検査でMRA画像を撮っています。
肝動脈・腎動脈・脾動脈などのお腹の血管、さらには血管奇形などの症例では、造影剤を用いたMRA画像を撮る場合があります。
ただし、MRの造影剤で副作用の症状が出る方は、非造影MRA画像で代用することもあります。
血管腫・血管奇形の画像 |
脳血管の画像 |
MR検査対応の金属・医療機器
チタン製の固定具や医療機器はMRI検査を行うことが可能です。
手術等で体内に医療用デバイスがある方は、材質を確認してから検査を受けていただきます。
条件付きMRI対応心臓ペースメーカーが、近年、医療の現場で使用され始めました。こちらは、事前に循環器内科を受診し、装置の種類・型式を確認する必要があります。また、検査直前で、臨床工学士立ち合いのもと、装置のモード変換を行う必要があります。
必ず、外来受診時にペースメーカー等があることを申告してください。
検査日当日に申告された場合は検査を受けることができません。
検査時の注意点
MRI装置は非常に強い磁力で金属を引っ張ります。そのため、鉄などのように磁石に反応する金属の持ち込みが禁止されています。
医療機器等を身に付けている場合は、怪我・故障・火傷などの恐れがあるため、必ず問診にて材質を確認する必要があります。
当院では、診察時と検査直前に問診を行い、ダブルチェックをしています。
申告漏れがないよう、小さなことでも主治医や放射線技師にお知らせください。