プログラムの概要

令和9年度 斗南病院初期臨床研修プログラムの概要(プログラム責任者:上村恵一)

経験する研修から自立可能な研修へ

これまでの研修は、必須項目を経験することで終了判定が可能でした。新しいプログラムでは、様々な診断並びに治療が自立できなければ判定終了となりません。2年間の研修終了後には、地域診療で初診の外来を担当可能となるよう教育いたします。それには、日常診療で遭遇する、29の症候と26の疾病をしっかり学ぶことによりプライマリー・ケアの基本診療能力が身につきます。また研修の過程で、医師として強い使命感と責任感を養い、医師である前に人間であるための人格育成を行っていきたいと思います。

当院の特徴は各専門科の特徴を生かした高度急性期医療の実践でありますが、その基本はあくまで患者中心の医療であり、各科の強い連携を基盤に行なわれている総合的医療の研修が身近に受けられることを特徴としています。

研修プログラム

研修プログラムの特色

初期研修に必要なプライマリ·ケアに必要な知識、技能、資質を幅広く学ぶことができ、多職種との幅広いコミュニケーションを体験し、医療倫理、プロフェッショナリズムについて幅広い医師としての人格の涵養を育てることができるプログラムである。

臨床研修の目標の概要

専門性に囚われずプライマリ·ケアに必要な能力を身につけること。チーム医療の一員として研修することで幅広い人間性を育み、プロフェッショナリズムを身につけることを目標としている。

一般目標(GIO)

将来の専門性に関わらず、日常診療で頻繁に遭遇する病気や病態に適切に対応できるよう、プライマリ·ケアの基本的な診療能力(知識·技能·態度)を身につける。

また、患者を全人的に理解し、身体的、精神的、社会的な側面から統合的にアプローチできる能力を養う。
目標を達成するために、以下の学習機会と指導体制を提供する。
Ⅰ.臨床実践による学習(On-the-Job Training)
  • 主治医制と指導体制:各診療科において、指導医·上級医の監督下で患者を受け持つ「主治医チーム制」を導入する。診察、検査計画、治療方針の決定、ICの同席等、一連の診療プロセスを段階的に自立して行えるよう指導する。
  • 外来診療研修:2年次において、初診外来や慢性期患者の継続診療を経験する。単なる「見学」ではなく、自ら問診·診察を行い、指導医とディスカッションを経て診療を完結させるプロセスを重視する。
Ⅱ.教育的行事とシミュレーション
  • ハンズオンセミナー:1年次の早期に、気道確保、静脈路確保、人工呼吸器管理等の必須手技について、シミュレーターを用いた集中講習を行う。
  • 定期講義·セミナー:29症候·26疾病をテーマとした、各科専門医による臨床レクチャーを定期開催する。
  • 症例検討会·CPC:自身の担当症例を提示し、プレゼンテーション能力と論理的な批判精神を養う。病理検討会(CPC)では、臨床と病理の対比から、より深い病態理解を目指す。
III. 特色ある救急研修
  • 札幌ACSネットワークとの連携:循環器救急の最前線を経験し、急性冠症候群に対する迅速な診断·治療の流れを体得する。
  • 2次救急当番:消化器、呼吸器、泌尿器等の各専門科が担う2次救急現場に参画し、多様な急性期疾患への対応力を磨く。

29の症候

  • ショック
  • 体重減少・るい痩
  • 発疹
  • 黄疸
  • 発熱
  • もの忘れ
  • 頭痛
  • めまい
  • 意識障害・ 失神
  • けいれん発作
  • 視力障害
  • 胸痛
  • 心停止
  • 呼吸困難
  • 吐血・喀血
  • 下血・血便
  • 嘔 気・嘔吐
  • 腹痛
  • 便通異常(下痢・便秘)
  • 熱傷・外傷
  • 腰・背部痛
  • 関節痛
  • 運動麻痺・筋力低下
  • 排尿障害(尿失禁・排尿困難)
  • 興奮・せん妄
  • 抑うつ
  • 成長・発達の障害
  • 妊娠・出産
  • 終末期の症候

26の疾病

  • 脳血管障害
  • 認知症
  • 急性冠症候群
  • 心不全
  • 大動脈瘤
  • 高血圧
  • 肺癌
  • 肺炎
  • 急性上 気道炎
  • 気管支喘息
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 急性胃腸炎
  • 胃癌
  • 消化性潰瘍
  • 肝炎・ 肝硬変
  • 胆石症
  • 大腸癌
  • 腎盂腎炎
  • 尿路結石
  • 腎不全
  • 高エネルギー外傷・骨折
  • 糖 尿病
  • 脂質異常症
  • うつ病
  • 統合失調症
  • 依存症(ニコチン・アルコール・薬物・病的賭博)

臨床手技

  1. 気道確保
  2. 人工呼吸
  3. 胸骨圧迫
  4. 圧迫止血法
  5. 包帯法
  6. 採血法(静脈血動脈血)
  7. 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)
  8. 腰椎穿刺
  9. 穿刺法(胸腔、腹腔)
  10. 導尿法
  11. ドレーン・チューブ類の管理
  12. 胃管の挿入と管理
  13. 局所麻酔法
  14. 創部消毒とガーゼ交換
  15. 簡単な切開・排膿
  16. 皮膚縫合
  17. 軽度の外傷・熱傷の処置
  18. 気管挿管
  19. 除細動等

研修参加施設

基幹型臨床研修施設 国家公務員共済組合連合会 斗南病院
協力型臨床研修指定病院
  • 医療法人社団 五稜会病院(精神科)
  • 医療法人育愛会 札幌東豊病院 (産科)
  • 社会医療法人母恋 天使病院 (小児科)
  • KKR札幌医療センター(小児科)
  • 北海道大学病院(選択科)
  • 札幌医科大学附属病院(選択科)
  • 旭川医科大学病院(選択科)
  • 中村記念病院(脳神経外科・神経内科)
  • 余市協会病院(地域医療)
  • 栗山赤十字病院(地域医療)
  • 利尻島国保中央病院(地域医療)
  • 白老町立国民健康保険病院(地域医療)
  • 栄町ファミリークリニック(一般外来)
  • 本輪西ファミリークリニック(一般外来)
  • 向陽台ファミリークリニック(一般外来)
  • 更別村国民健康保険診療所(一般外来)
  • 寿都町立寿都診療所(一般外来)
  • 国民健康保険上川医療センター(一般外来)
  • さっぽろ銀杏会記念病院(一般外来)
  • 国家公務員共済組合連合会 東北公済病院(産科)
  • 国家公務員共済組合連合会 立川病院(産科・小児科)
  • 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院(小児科)
  • 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院(産科・小児科)
  • 国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院(小児科)
  • 国家公務員共済組合連合会 佐世保共済病院(産科・小児科)

プログラムの修了の認定

年5回開催される臨床研修管理委員会、6カ月毎に開催されるプログラム委員会、および毎月開催される指導医会においてプログラムの履修状況を確認します。達成度に応じて個々に新たなプログラムを作成いたします。2年修了時には、29の症候と26の疾病において診断治療の自立が可能なことを確認して研修修了を認定し、認定証明書を発行します。

研修終了後の進路

臨床研修修了後、本院で後期臨床研修プログラムのもとで勤務を続けることができます。

また大学との強い連携が構築されており、大学院入学、研究志向の要望には随時対応できます。

初期臨床研修プログラム冊子


年次報告

令和7年度