医療安全への取り組み

医療安全推進週間とは?

厚生労働省では、「患者の安全を守る」ことを中心とした総合的な医療安全対策を推進するためさまざまな取り組みを推進しています。その一環として、医療機関等における取り組みの推進を図り、またこれらの取り組みについて国民のみなさんの理解や認識を深めていただくことを目的として、11月25日(いい医療に向かってGO)を含む1週間を「医療安全推進週間」と定めており、斗南病院でも医療安全の取り組みの一部をご紹介します。

医療安全週間における医療安全講演会の取り組み

斗南病院では、医療安全に関する講演会を年間通して行い、職員の医療安全についての知識の向上や院内での情報共有に努めています。今回、医療安全推進週間に合わせて、医療安全講演会を行いました。

当日の講演会は、会議室に入りきらず廊下で立ち見がでるほど多くの職員が参加して開催されました。講演後には意見交換も行い、院内全体で情報共有や医療安全に関する認識を再確認する良い機会になりました。

医療は安全に行われて当然のこと、と思いがちですが、人間は間違いを犯すものであることも肝に銘じながら、医療機関では医療が安全に行われるように様々な工夫をしながら、日々、安心・安全な診療を心がけています。

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事例1 インシデントレポートの重要性とMACTチームの活動報告

司会 医療安全委員会委員長 近藤仁(診療部)

事例1−1 インシデントレポートの理解を深めるために

演者 池田和隆(診療部)

1999年に医療の安全を揺るがす大きな事件が起こり、社会問題にもなったことで1999年は医療安全元年と言われています。

そこで医療業界でも、安全管理の大先輩である航空業界を参考に、事故ではないけれど事故に繋がりかねない事例の収集を行い、情報共有と分析を行うためのインシデントレポートが導入されました。

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インシデントレポートとは?

インシデントとは、誤った医療行為等につながる事例を意味し、それを報告する報告書をインシデントレポートといいます。作成する目的は、情報を共有し、管理・分析し同じ過ちを繰り返さないことや注意喚起、手順の見直しなどがあげられます。

ゼロレポートって?

院内のインシデントレポートは、ゼロレポートが大部分をしめています。ゼロレポートとは、ヒアリハット事例、つまりインシデントを未然に防ぐことができた事例の報告です。

ゼロレポートを書く目的

ヒアリハットが、大きな事故に繋がらないようにすることが、大きな目的ですが、忙しさの中なかなか...。

ゼロレポートを書く意義

しかし、書いて整理することで少なくとも自分が繰り返すのを防ぐことにつながる。

レポートを書いたことで、何か責任をとらされるのでは?

そんなことはありません!重大な事故を防ぐ大事な報告です。看護部では公開・評価を受ける機会を設け、書くことに対するモチベーションの向上を図っています。

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事例1−2 MACTチームの活動報告

演者 原田祐輔(臨床工学部)

たとえばスマートフォンの着信音、電車の発車合図、目覚まし時計、キッチンタイマーなど、私たちの周りにはアラーム音であふれています。

医療現場でもアラームには重要な役割があります。特に生体情報モニタなど生死に直結する機器でのアラームへの対応は注意を要します。

MACTとは、このような生体情報モニタの安全管理のために活動するチーム(Monitor Alarm Control Team) です。

斗南病院では、T-MACT(Tonan-MACT)として活動しています。

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T-MACT発足!

生体モニタに起因するインシデント発生を予防するため、2023年1月、病院長直属のMACTチームが発足しました。チームは、医師、病棟看護師、医療安全専従看護師、臨床工学技士、事務職員で構成されます。部門横断的に多職種で構成されたT-MACTチームは道内初となります。

発足して日が浅いこともありT-MACTの活動内容の報告に、職員一同理解を深めることができました。

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チームカンファレンスでは何をしてる?

  • 各病棟のモニタリングに関する問題点の洗い出し
  • リンクナースが各病棟の問題点を報告

その後、メンバーが2チームに分かれて病棟ラウンドをして現時点での問題点を確認しています。

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消耗品の見直し

心電図で使用するパッドが大袋入りのものだったが、使用頻度が低い病棟では、使い切るまでに乾燥してしまい不具合に繋がっていたので、見直した。

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院内で統一したモニタリング管理のために

教育は主に、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士が行っています。

これまで、モニタに関する教育は部門ごとに行っていたが、これを院内で統一した教育方法に変更しました。

MACT発足の目的
  1. 不必要なアラームをなくすこと
  2. スタッフのモニタリングの知識向上
  3. 院内で統一したモニタリングの管理
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不必要なアラームをなくすために

多職種からなるチームで検討することで、解決策を見いだし不必要なアラームをなくし、大事なアラームを聞き逃さないようにした。

知識向上のために

以前行った勉強会や研修医向けの勉強会のアーカイブ配信することにした。今後も勉強会を増やして行く予定。

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事例2 ダビンチ手術安全運用研修会

司会 医療安全委員会 田中綾一(診療部)

斗南病院のダビンチによるロボット手術は、内視鏡外科手術で培ったノウハウを生かし、医師、看護師、臨床工学技士でチームを組み、安全に手術を行っています。

今回は、ロボット手術に関わる診療科(外科、呼吸器外科、泌尿器科、婦人科、麻酔科)をはじめ、すべての職種間でヒアリハットを共有し、メーカーの担当者もお招きし、安全運用に関する研修会を行いました。

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